再生の流れについて

事業再生の流れについて

事業再生は、事業実態を維持している間に行わないといけない、すなわち、企業の血液である資金が底をつく前に行わなくてはならず、スピードが要求されます

限られた時間のなかで、何を行うのか、また何を捨て何を守るのかを判断し、そのための準備を行い、実行をすることになります。

事業再生の一般的な流れとしては、以下のようになります。
(資金繰り状況、債権者の状況等により、流れが前後したり、一部省略されることもあります。)

1.実態の把握

会社が倒産状態になった場合、まずはじめに財務内容、資金繰り、銀行別の借入金残高、担保状況などを見て、会社が現在置かれている状況を正確に把握する必要があります。
資料をみて、資産・負債の状況や売上規模・損益状況、事業収支、銀行数と金額などを確認し、倒産に至った原因や将来の事業見通しなどをしっかりと分析することが必要です。

2.再生方針の策定

資金繰り表や財務内容をみて債務免除を受けることなく再生可能かどうか判断をします。
リスケジュールのみでは資金繰りの改善ができず債務免除が必要と判断された場合、どの再生手法を使用して再生を図るかを検討し、再生の方針を決めることになります。

3.デューデリジェンス・事業計画案の作成

財務内容を中心として精査し、再生後の事業計画案を作成します。事業計画書は、収益力のある事業を残し、赤字部門の廃止に伴う販売管理の削減や遊休資産等の売却するなど抜本的なリストラをすることで収益改善を図るということが柱となる計画ですが、3年くらいの売上と利益の予想推移についてもきちんと作成することが必要です。
(債務免除を受けるための事業再生手続においても、スポンサーの確保のためのプレゼン資料としても事業計画書は大変重要です。また、赤字企業や債務超過である企業でも、事業計画書によっては新規融資が出るケースがあるので、きちんとしたものを作成しておくことは重要です。)

4.資金の確保

債務免除を受けることなく再生可能と判断された場合には、まずは新たな融資による資金の確保を目指し、金融機関等と交渉することになります。
金融機関から新たな融資を引き出す交渉をしたが実現しそうにない場合、あるいは、債務免除を受けて再生を行うと判断された場合には、リスケジュールによる資金の確保を目指して金融機関等と交渉することになります。
しかし、リスケをしてもなお資金繰りの状況が思わしくない場合には、事業を維持することについて影響の少ない取引先や支払い金額の大きい取引先などに支払いを先延ばししてもらいます。

5.スポンサー候補企業の獲得

事業を継続し再生するために必要な信用の回復や資金の確保をするためには、資金力・信用力のあるスポンサーなどから新たな信用の供与を受けて、信用を補完する必要があります。

商品等の仕入資金が必要な場合のみならず、仕入先が外国など事業上金融機関の与信を必要とする場合や債務者企業単独では経営状況が黒字化へ改善する見込みがなく再生中に再度資金不足に陥る場合には、スポンサーの支援は事業再生に際して不可欠です。

このような場合、事業再生のスポンサーとなるべき候補企業を獲得することになります。

6.再生手続の準備

債務免除を受けて再生を図る方法として、中小企業再生支援協議会を利用する場合は協議会に初期的相談を行い、私的整理ガイドラインに基づく処理をする場合には主要債権者(メインバンク)に初期的相談を行って、再生可能性が認められると、協議会やメインバンクの支援のもと再生計画案の作成を行うことになります。

再生を図る方法として、法的再生をする場合には、再生手続の申し立てに関する資料の作成を行います。
※民事再生の申し立ての場合:再生手続開始申立書、事業計画書、債権者一覧表、資金繰り実績・予定表など

また、債務者企業の倒産により、連鎖倒産してしまいそうな取引先の買掛金などについては、可能な限り手当をして連鎖倒産しないように配慮する必要があります。

7.再生手続の開始

私的再生の場合は、再生計画案を作成後、債権者に対して再生に至った経緯の説明と謝罪、今後についてきちんと説明し理解を得て、再生計画に対して承認を得ます

法的再生の場合は、再生(更生)手続の開始申立後、従業員・債権者に対して再生(更生)に至った経緯の説明と謝罪をし、今後についてきちんと説明し理解を得るほか、取引先に説明をし再生への協力と取引関係の継続維持をお願いすることが必要です。また、債権調査手続や財産状況を調査を行うとともに、今後の事業計画・弁済計画を骨子とした再生計画案を作成し、債権者の承認を得ることになります

8.再生手続の実行・終了

承認を得た再生計画案に基づいて再生手続を実行し、計画通り債権者に弁済が行われて、再生手続が終了します。