特定調停について
特定調停とは、民事調停の一類型で、経済的に破綻するおそれがある借主について、裁判所が借主と貸主その他の利害関係人との債務の調整を仲介し、借主が経済的再生を図ることを支援する手続きです。
(1) 金銭債務を負っている者であって、支払不能に陥るおそれのあるもの、または事業の継続に支障をきたすことなく弁済期にある債務を弁済することが困難であるもの、あるいは、(2) 債務超過に陥るおそれのある法人が、特定調停手続により調停を行うことを求める旨の申述をすることができます。
特定調停の手続
裁判所への申立がなされると、調停の期日が指定され、その期日に債務者、債権者、事案に応じて裁判所が選んだ専門的な知識、経験を有する調停委員により組織された委員会のメンバーが集まり、合意に向けて話し合いを行います。
当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したとき確定判決と同一の効力を有し、その効力は調停の当事者に及ぶことになります。
なお、調停委員会や裁判所が構成妥当な調停の成立に向けて積極的に関与することを認めており、事件解決のため調停委員会が当事者に対し調停条項案を提示したり、裁判所が職権で必要な決定(17条決定)を行うことがあります。
特定調停の特徴
1. 完全合意型の手続きであること
特定調停が成立するためには、全ての債権者の同意が必要であり、調停に代わる裁判所の決定で解決するとしても、債権者が異議を述べないこと(当事者が決定の告知を受けた日から2週間)が必要です。
2. 手続の透明性や債権者間の公平性は一定程度確保されること
私的再生手続とは異なり、裁判所が一定程度関与する手続であることから、手続の透明性や債権者間の公平性は一定程度確保されます。
3. 調書は確定判決と同一の効力を持つこと
調書は確定判決と同様に債務名義となり(民事執行法22条7号)、債権者はこれに基づき強制執行することができます。