事例集

事業再生事例集

事業再生サポートセンターのコンサルタントがこれまでに行った事業再生案件の中から、典型的なパターンの事例をご紹介します。

事例1(民事再生手続を利用した企業再生型再生)

●法人の概要
業種 医療関連事業
年商 4億円

●事業再生前の状況
本業である医療関連事業は比較的順調であったものの、所有不動産を担保として行った過剰な借入金の返済により資金繰りが悪化していた。
銀行と債務の返済交渉を続けていたが、本業の利益や不動産の賃料による返済額では、銀行の要望する返済額との乖離が大きく交渉が難航していたところ、銀行より借入金がサービサーに譲渡された旨の通知を受けた。

●事業再生の流れ
サービサーの面談要請に応じて交渉を開始し数度の交渉をしたが、返済金額について譲歩する意思がまったくなかったため、民事再生手続を利用して事業再建を図ることとなった。
所有不動産を任意売却することにより、担保を有するサービサーに対する債務を弁済したのち、無担保となった債権については支払可能な金額まで圧縮した再生計画が認可された。

事例2(破産手続を利用した事業譲渡型再生)

●法人の概要
業種 教育関連事業
年商 25億円

●事業再生前の状況
少子化や同業他社との競合が激化により年々売上が減少し、銀行から運転資金の新規融資が停止したことにより資金繰りが悪化していた。
銀行に対する返済を停止し、リストラに着手して収支の改善を図ったものの、資金繰り不安により積極的に受講者へアプローチできず売上が大きく減少したために、期待したほど資金繰りの改善が出来ず破綻する可能性が高まっていた。

●事業再生の流れ
経営の建て直しのためには、信用力補完のためスポンサーによる支援が不可欠であると判断し、スポンサー企業探しを本格化した。教育関連事業への進出に関心のある企業がスポンサー候補として名乗りをあげたため、同社に対して事業譲渡を行った。事業譲渡を行った後の会社は、公租公課の延滞等があったため破産手続を行い清算した。

事例3(特別清算手続を利用した事業譲渡型再生)

●法人の概要
業種 コンテンツ制作
年商 3億円

●事業再生前の状況
コンテンツ制作を事業主体から請け負う形で業務展開していたが、製作を内製化する事業主体が増加したため売上が減少し、資金繰りが悪化していた。

●事業再生の流れ
リストラに着手して収支の改善を図っても黒字化が難しくスポンサーの支援が不可欠であると判断し、製作コンテンツの特殊性等を鑑みて同業他社の支援を受けることとなった。
赤字ではあるもののスポンサーの傘下では黒字化可能と思われる事業について事業譲渡を行い、事業譲渡を行ったあとの会社については、一定期間を経過したのちに清算をした。

事例4(特別清算手続を利用した会社分割型再生)

●法人の概要
業種 繊維製品卸売
年商 53億円

●事業再生前の状況
主要卸売先が不景気のあおりを受けて販売不振に陥り倒産したことによって、売掛債権の回収ができなくなり資金繰りがつかなくなった。

●事業再生の流れ
商品を仕入れるためには有力なスポンサー企業による信用補完が不可欠であるため、事業存続のためには信用力のあるスポンサー企業へ事業譲渡を行うしかないと判断した。
スキームは、事業譲渡による入金口座の変更を好まない業界の特殊性より、生き残りを図る事業部門を会社分割により新設会社に移転する方法を採用することにした。会社分割後すぐに、新設会社の株式をスポンサー企業に売却し、売却代金は借入金の返済資金等として銀行に対して支払をした。分割会社については、一定期間を経過したのちに清算をした。

事例5(民事再生手続を利用した事業譲渡型再生)

●法人の概要
業種 飲食店運営
年商 6億円

●事業再生前の状況
フランチャイズを含めた多店舗展開を行っていたが、同業他社との競合の激化や景気後退による売上減少や店舗の採算管理の不徹底により赤字化したため、銀行から運転資金の新規融資を停止されてしまい、資金繰りが悪化していた。
当面の資金繰りが困難であるため、銀行との交渉の結果リスケジュールに応じてもらうことに成功したが、景気後退による売上の減少は不採算店舗の閉鎖や経費削減などリストラ効果を減じた結果、大幅な収支改善に至らず資金繰りが破綻する可能性が高まっていた。

●事業再生の流れ
食材等の仕入れやフランチャイズシステムを維持するためには、有力なスポンサー企業による信用補完が不可欠であると判断し、事業存続のためスポンサー企業へ事業譲渡を行うことにした。
スポンサー企業は、法的安定性の確保を目的に法的手続を利用することを条件としたため、民事再生手続を申立して、民事再生手続の中でスポンサー企業に対して事業譲渡を行った(プレパッケージ型民事再生)。事業譲渡を行ったあとの会社については、一定期間を経過したのちに清算をした。

事例6(リスケジュールのみを利用した企業再生型再生)

●法人の概要
業種 レジャー施設運営
年商 180億円

●事業再生前の状況
事業規模拡大のため店舗出店を進めたものの、採算店と不採算店の2極化が進み、不採算店の赤字が全体収益を押し下げ資金繰り状況は厳しいものとなった。
銀行に対しては、借入金の約定返済を続けてきたものの、現状の返済を続けると数ヵ月後には資金繰りが行き詰ることが予想されていた。

●事業再生の流れ
資金繰りが行き詰まることを防ぐため、銀行とリスケジュールの交渉を開始し、銀行との交渉の結果、銀行側もリスケジュールに応じることの経済合理性を理解し、リスケジュールに応じてくれた。
リスケジュール開始後は、不採算店舗の閉鎖や経費削減などのリストラを行って資金繰りの安定化を図る一方で、銀行借入の大幅な圧縮を図るため、所有不動産や採算店を売却し、売却代金により借入金を返済して財務の健全化を行った。