リスケジュールについて

リスケジュールについて

リスケジュールとは、金融機関からの借入金返済が苦しくなったときに、現状と今後の見通しから返済可能なスケジュールを考えて、既存の返済計画を見直し返済期間や金額の約定を変更ことをいいます。
業績が悪化した結果、資金繰りが苦しく、また、資金調達の目途がどうしても立たない場合に、資金を確保するために行われる方法です。

リスケジュールの考え方・ポイント

金融機関からの借入金の返済は、いわゆる利益償還であるから、企業が事業により生み出すキャッシュフローの中から返済していくのが基本的な考え方です。
※ざっくりとしたキャッシュフローは、(税引き後の)当期利益に支出を伴わない費用である減価償却費を加えたもので算出できます。

新規に金融機関から借入をする場合、この基本的な考え方に基づいて審査を受けて借入をすることになりますが、返済条件の見直しであるリスケジュール交渉においても、この基本的な考え方に基づいて見直しが行われます。
そこで、(1) 現状、会社の生み出すことのできるキャッシュフローの額がいくらで、
(2) そのキャッシュフローフローの中からいくらまでなら返済することができるのか
についてきちんと把握し、金融機関に理解をしてもらうことが重要となります。

2つ目のポイントとしては、リスケジュールの申し出を金融機関が無条件で受け入れるということはなく、リスケジュールを行うことが貸し出しをしている金融機関にとってリスケジュールに応じるほうが、応じないよりも有利であることが必要です。
すなわち、リスケジュールを行うほうが、応じないよりも結果的に貸し出した融資をより多く回収することができるのであれば、リスケジュールに応じてもらうことができます。

もうひとつのポイントとしては、複数行から借入がある場合には、原則としてすべての銀行からの借入金に対してリスケジュールを依頼する点です。

リスケジュールも金融機関の債権管理回収業務のひとつですが、金融機関の債権管理回収における考え方の基本として、公平であることがあります。
債権管理回収においては、メインバンクがリスケジュールに協力するのはもちろん、すべての金融機関もリスケジュールに応じるのかどうかもリスケが成功するか否かにとって重要になります。
なお、公平というのは、まったく同一という意味ではなく、リスケジュールによる弁済額の減少をどの金融機関がどれだけ負担するかというシェア調整の問題も生じることがあります。

リスケジュールの仕方

金融機関に対してリスケジュールを行う場合には、現在の資金繰り状況では、現在の毎月の約定弁済の額を支払い続けることが難しいこと、あるいは満期に期限一括返済をすることができないことを理解してもらったうえで、上記3つの考え方・ポイントを押さえた交渉をする必要があります。

  1. 現状、会社の生み出すことのキャッシュフローの額と、そのキャッシュフローの中から返済可能な金額を説明し、理解してもらう。
  2. リスケジュール案に応じるほうが、応じないよりも中長期的には有利であることを説明し、理解してもらう。
  3. すべての金融機関に応分の負担をしてもらう予定でいることを伝える。

なお、金融機関に対してリスケジュールに応じてもらうためには、書面の提出が必要不可欠となります。具体的には、(1) キャッシュフローを理解してもらうための資金繰り実績・予定表、(2) リスケジュールに応じたほうが有利であることを示すための資料として、収益力を向上させるための方策を盛り込んだ経営改善計画書または事業計画書、(3) 借入金をどのように返済していくのかを示す返済計画書などを交渉に際して提出することになります。

リスケジュールをしても資金繰りが確保できない、経営改善計画書や事業計画書の実現可能性がないなどと判断された場合には、応じる意味がないとしてリスケジュールは難しくなります。

リスケジュールを断られた場合の対応

リスケジュールを断られた場合の対応として、現状のまま借入金の返済を続けるとすると、近々に資金繰りを確保することができずに経営破たんする可能性が高いのであれば、返済をストップせざるを得ません。この場合は、延滞が発生することになります。

延滞状態になると、銀行取引約定書(基本契約書)の条項に基づき、期限の利益が喪失することになり、銀行は融資金の全額を回収することが可能となり、返済を求める連絡が増え、預金や売掛金の差押や担保不動産の処分、連帯保証人への請求等が行われるようになります。
※期限の利益とは、債務者がその契約により弁済期が到来するまでは、特別な事情がないかぎり自己の権利として、その弁済請求を拒絶することができること。

このような状況になると、数ヶ月程度はそのまま事業を続けることもできますが、債権者のプレッシャーを受けながら長期間事業を継続し続けるのは難しく、事業再生手続を行わざるを得ないと言えます。

リスケジュールのメリット・デメリット

リスケジュールを行うことのメリットとしては、月々の返済額が減る、あるいは元金の返済しなくてよくなることから、その返済額に相当する金額分の資金繰りを確保することができる点にあります。

リスケジュールを行うことのデメリットとしては、リスケジュールの期間中に銀行から新たな融資を受けることができなくなるので、借入に頼らない資金繰り管理が必要となる点です。

なお、リスケジュールは、経営改善計画書・事業計画書に基づいてリストラを実行し、効果が出るまでの緊急措置的な対処手段であり、リスケジュールを行っても借入金の額が減少するものではない点に注意すべきです。

リスケジュールの最近の傾向

リスケジュールの環境が変わってきています。平成20年11月の金融庁の通達により、経営改善計画の期間が延長されたり、条件を満たせばリスケをしても不良債権にならないなど金融機関がリスケジュールに取り組みやすくなった結果、金融機関はリスケジュールに対して前向きに取り組むようになり、交渉がスムーズに進むことが多くなっています。

もっとも、リスケジュール交渉がしやすくなったからと言って、必ず認められるというものではなく、経営改善計画書や事業計画書などの資料については、きちんと作成する必要があります。